再生型の倒産

再生の3つの方法

25年以上前から、会社の破産・再生(かつては和議)に関するご相談を受けていますが、再生に関する手法は、主に3つのパターンがあります。

(1)破産手続きを利用した事業再生

破産手続きは、本来清算型の法的債務整理手続きです。しかし、スポンサーによる事業譲渡等の手続きを行い、事業を生かした上で、残った会社を破産手続きで清算するという「事業再生」の手法があります。
事例は多くありませんが、この手法は切れ味が鋭く、短期間で決着がつきますので、条件さえ整うのであればチャレンジしてみる価値があります。

(2)民事再生手続き

民事再生手続きとは、債務者が自らの会社を再建させるための再生計画を債権者に示し、その計画について債権者の同意(頭数・債権額の過半数)を得た上で裁判所の認可をもらい、計画に従って経済的更生を図る手続きです。
債務のすべてをリセットすることはできませんが、負債を大幅にカットすることができます。
そのため、規模などは縮小される場合があるかもしれませんが、事業自体は継続することが可能となります。

(3)私的整理手続き

私的整理とは、法的整理を利用せずに、債権者と債務者との自主的協議(バンクミーティング)により倒産処理を図る手続きです。

法的整理と私的整理

前述の3つの方法について、(1)破産手続きを利用した事業再生と、(2)民事再生手続きは、裁判所の監督下で手続きが行われるため「法的整理」、(3)私的整理手続きは、自主的協議で手続きを行うため「私的整理」と分けることができます。

法的整理のメリット
●不正が起こりにくい
●債権者に対して公平
法的整理のデメリット
●手続きが複雑で、時間と費用がかかる
●風評被害による事業価値の毀損
私的整理のメリット
●事業規模や実態に合わせて、柔軟で迅速な対応が可能
●「倒産企業」のレッテルが貼られない
私的整理のデメリット
●再建計画に反対する債権者がいる場合、法的に拘束できない
●裁判所に保全処分を求められない
私的整理について

事業再生には再生協の関与が望ましい

広島の会社をサポートしている中で、「地方における小規模の会社」という前提で考えると、(1)破産手続きを利用した事業再生や、(2)民事再生手続きなどの法的整理では、真の事業再生は困難と考えています。

法的整理を行った場合は官報に会社名が記載されますので、多くの場合、風評被害によって事業価値が毀損されます。社名を変えたり、どれだけ内密に手続きを進めたとしても、公表されるのが現実です。
せっかく再生させた事業なのに、その価値が下がってしまっては意味がありません。

そのため、私は「私的整理」をおすすめしています。
会社が債権者である金融機関等を集めてバンクミーティングを行い、私的整理手続きで債務を整理することで、手続きが公開されることもなく、会社は密かに、確実に、再生への道を歩むことができます。

2005年ごろ、企業再生の過程で「広島県中小企業再生支援協議会(以下、「再生協」という)」に登録し、専門アドバイザーとして活動しています。
ここは、経済産業省(中でも、中小企業庁)の管轄下で、多数の専門家(公認会計士・税理士・中小企業診断士等)と連携し、金融機関との利害調整を行うことで、私的整理による会社の再生を担当している組織です。

地方で中小企業の再生を行うためには、その地域の再生協が関与した上での「私的整理」が最善策であるというのが、現段階での私の結論です。

無料の初回相談で見通しを立てましょう

会社を再生する方法はここで紹介している以外にも多くありますし、複数の方法を合わせて使うこともあります。
一人で思い悩んで決めつけずに、正しい判断をするためにも、まずは弁護士へご相談してください。
とることのできる選択肢や、今後の見通しを知ることができれば、抱えている不安も小さくなるのではないでしょうか。

時間がたてばたつほど、選択肢も限られてしまいます。当事務所への初回相談は無料ですので、まずはお早めにご相談ください。

そのほかの方法について、詳細は下記のページをご覧ください。

① 清算型の倒産 自己破産手続き
特定調停手続き
② 再生型の倒産 破産手続きを利用した事業再生
民事再生手続き
私的整理手続き
③ 保証債務型 経営者保証ガイドラインによる債務整理