私的整理手続き

1. 第二会社方式での再生

(1)地方における中小企業の再生に多い「第二会社方式」

当該会社の事業価値に応じた金銭的評価を行い、その資金を出してくれるのがいわゆるスポンサーです。
スポンサーは自らの事業展開にメリットがあるからこそ資金提供をするわけですから、ただ単にその会社に融資することはほとんどありません。

通常は、第二会社に事業譲渡を行い、その対価を旧会社に渡して、旧会社を特別清算手続きで清算する中で、債権者に配当する方法をとります。
このとき会社分割の手法を採用することもありますが、いずれにしてもこの方法を「第二会社方式での再生」といいます。

(2)第二会社方式のメリット

地方における中小企業の再生は、この「第二会社方式」が圧倒的に多いです。
地方の老舗企業が人知れず第二会社方式で再生され、店舗に変化なく、従業員も今まで通り働いているが、経営者が密かに変わっているというケースは、枚挙にいとまがありません。

第二会社方式のメリットは、密かに再生できて、会社従業員、地域経済、金融機関のすべてにとって利点があることです。

(3)企業としての“体力”が前提条件

ただしこの方法は、公認会計士・税理士・弁護士など、税務と法務の専門家が関与して調査を行う必要がありますので、膨大な労力と時間と手間暇がかかります。
また、スポンサーが必要になるので、一定の事業価値が認められるような、ある程度の規模がなければ厳しいでしょう。
そのため、地方の中小企業と言っても、ある程度知名度や規模のある会社でないと難しいと思います。

2. 第二会社方式の問題点

(1)中小企業再生支援協議会の役割

第二会社方式をとる場合、会社経営者(債務者)、金融機関(債権者)、スポンサーの三者間の意見調整を行う存在がどうしても必要となります。
これらの当事者は、それぞれの利害関係に基づいて自らの利益を最大化するための主張を行うので、オーケストラの指揮者に当たる存在が不可欠なのです。

そうしたときのために、全国各地にある中小企業再生支援協議会(以下「再生協」という)という組織があります。
この組織は、経済産業省・中小企業庁傘下の組織(その意味で、公的機関といえる)ですが、広島の場合、その構成員は主として金融機関からの出向者です。
金融機関からの出向者で構成されている点が、実は再生協の最大の強みかもしれません。

利害関係者の意見調整が必要と言いましたが、やはり一番強いのはお金を貸した債権者である金融機関です。
金融機関は、最終的には債権を放棄しなければなりませんので、たとえそれが経済合理性に合致していたとしても、手放しで放棄することはできません。
できるかぎり、金融機関の納得できる落とし所を探っていく必要があるのです。

私は、2005年以降、再生協の法律面の専門アドバイザーとして様々な再生事案に関与してきましたが、そこで金融マンの発想に触れ、大変勉強させていただきました。

(2)弁護士の関与が重要

弁護士が関与するのは、金融機関に債権(元本)カットを求めることになる事案です。金融機関にとって債権のカットというのは、大変深刻な事態なのです。
金融機関の担当者は、役員会に掛けてその承認を取らなくてはなりません。
そのとき、再生協の専門アドバイザーとして中立的な立場である弁護士による意見(調査報告書)が役に立つわけです。

3. 保証人責任の果たし方

会社代表者は、会社の債務について連帯保証しているのが通常です。
この会社代表者の責任についても、破産手続きによることなく、経営者保証のガイドラインに従った債務整理によって、債権放棄を求めることで解決できます。

無料の初回相談で見通しを立てましょう

正しい判断をするためにも、まずは弁護士へご相談してください。
とることのできる選択肢や、今後の見通しを知ることができれば、抱えている不安も小さくなるのではないでしょうか。

時間がたてばたつほど、選択肢も限られてしまいます。当事務所への初回相談は無料ですので、まずはお早めにご相談ください。

そのほかの方法について、詳細は下記のページをご覧ください。

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③ 保証債務型 経営者保証ガイドラインによる債務整理